政倫審「５１人出席を」／裏金問題　野党要求、自民は保留

　自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、与野党は１６日、衆院の政治倫理審査会の開催可否について幹事懇談会で協議した。野党は、還流額を政治資金収支報告書に記載しなかった安倍派、二階派の現職８２人のうち全ての衆院議員５１人の出席を要求。与党は回答を保留し、開催合意に至らなかった。週明け以降、与野党で筆頭幹事を務める自民の丹羽秀樹、立憲民主党の寺田学両氏が改めて話し合う。調整は来週がヤマ場となる。　（１０面に関連）
　自民が不記載議員への聞き取り調査報告書を１５日に公表し、今後は国会の政倫審開催、不記載議員への自民党処分が焦点となる。岸田文雄首相は国会答弁で、実態把握と本人の説明責任を踏まえて政治責任の在り方を検討すると言及している。
　野党は、「中途半端な対応だ」（日本維新の会幹部）と問題視。幹事懇で寺田氏は、発言した議員名を明らかにするよう要求した。
　野党は安倍派、二階派の幹部は「責任が重い」と指摘する。出席を求めた５１人には安倍派「５人組」や二階俊博元幹事長らが含まれる。参院でも野党は、５人組の世耕弘成前自民参院幹事長を念頭に、来週にも政倫審開催を申し立てる構えだ。
　首相は政倫審開催の調整を自民幹部に指示している。１６日昼に麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と会食。この後、浜田靖一国対委員長と会談した。２０２４年度予算案の審議状況を踏まえ、政倫審を含む国会対応を協議したもようだ。立民の泉健太代表は記者会見で、政倫審開催に応じなければ「国会日程に影響が出る」とけん制した。
　政倫審は、疑惑を持たれた議員本人が申し出た場合か委員の３分の１以上の申し立てと過半数の賛成で開催できる。出席させる強制力はなく、本人同意が必要。非公開審査を原則としており、公開は本人の了解が前提となる。泉氏は東京都内で講演し、公開開催の必要性を強調した。