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【国政も関心】自民、県政奪還に自信 野党国会議員に焦りも<衝撃の与野党逆転’24県議選>4


【国政も関心】自民、県政奪還に自信 野党国会議員に焦りも<衝撃の与野党逆転’24県議選>4 立憲民主提出の内閣不信任決議案への反対討論に立つ西銘恒三郎衆院議員=20日、衆院本会議場(中継映像から)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

立憲民主党提出の岸田内閣不信任決議案の採決が行われた20日の衆院本会議場。反対討論で自民党幹事長代理の西銘恒三郎氏は飛び交う怒号を打ち消すような大声で、沖縄県議選結果に触れた。
 「内閣不信任には全く当たらない。政治の世界は積み重ねが重要だ。沖縄県議選でも目の前の課題と虚心に向き合ってきた一人一人の積み重ねが結果につながった」。県議選での「大勝」を引き合いに、政治不信を払拭できることを表したと言外に示して胸を張った。
 県議選後、自民党本部にはしばらくなかった高揚感が広がった。「久しぶりにいい結果だった」。麻生太郎副総裁は党会合で表情を緩ませた。
 「裏金問題」の影響で、4月の衆院3補選で全敗し、静岡県知事選での推薦候補の落選と連敗が続いた中での「大勝」。内閣支持率が長期低迷する情勢の転換材料となる“朗報”だった。
 野党・中立多数の県議会構成を念頭に、県政奪還が現実味を帯びたとして2年後への青写真も描く。会見で「来たるべき知事選での県政奪還につなげたい」と勇み立った茂木敏充幹事長は「地域経済の活性化、県民生活の向上などの政策を県議会がリードしていく」と宣言。県連と連携し「経済優先」の政策を推進する姿勢を示唆した。
 天王山となる2年後の知事選に向け、地元も既にうごめく。県連幹部は「勝てる候補者選びを始めている。この機を逃すことはない。争点を基地から経済に転換させる」と息巻く。
 一方、新基地建設反対を掲げる玉城デニー知事を支持する県政与党勢力は「予想外の大敗」により、窮地に立たされている。懸念するのは、自民の大勝が南西シフトの加速など、沖縄の基地負担をより過重にすることにつながらないかということだ。
 県議選投開票の2日後、沖縄防衛局は8月1日から大浦湾側の護岸工事に着手すると県に通知した。投票行動への影響を避けるための選挙後の通知とみられるが、工事の進展を強く印象づけ、埋め立て阻止を掲げる県政や与党勢力にとどめを刺したようにも映る。「新基地建設阻止への諦めが広がってしまわないか」。玉城知事を支持する県選出
国会議員は焦りを募らせる。
 国政野党側は、沖縄の基地負担強化の流れに警戒しつつ、地方基盤の立て直しに向けた戦略の見直しも迫られている。立憲民主党の岡田克也幹事長は「県民の生活や経済、そういう問題を含めて幅広くやらなければならない」と強調した。
 防衛省関係者は「野党多数とはいえ、知事が決定権を握っているのは変わらない。結局、2年後の知事選で代わるかどうかだ」と淡々と語る。ただ、沖縄施策に関わる官僚らの間でも知事選は関心事。県政の舵(かじ)取り役はどうなるか、政府、国会内での注目度がより高まっている。 (’24県議選取材班)