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記憶の継承問われる 赤嶺昇県議会議長 式辞(要旨)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 想像してください。兵士や住民の区別なく無差別に浴びせられる空襲や艦砲射撃、近くでさく裂する爆音が耳をつんざき、昼夜を問わずどこに居てもやまない鉄の暴風が、人々を恐怖と悲しみに染めて死地に追い立てる様を。愛する家族が、隣人が、あなたのかけがえのない人が血を流し、裸足(はだし)で逃げ惑う姿を。個々には何の怨恨(えんこん)もなき彼我の若者たちの尊い生命が、国家間の戦争により奪われざるを得なかったことを。
 沖縄に生きる私たちは、時が流れるほど、戦禍の苦しみが忘れられない苦しみとなることを知っている。人間の尊厳を守り抜く重要さは、沖縄に深く刻まれている。この記憶をどう受け継ぎ、より良い未来を創るためにどう生かすべきか。沖縄県民にも世界中の人々にも問われている。