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動機焦点、事件余波やまず 安倍元首相銃撃2年 公判は来年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 安倍晋三元首相が選挙の応援演説中に銃撃され、死亡した事件から8日で2年を迎えた。事件を機に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題や「宗教2世」の存在が知られるようになり、教団の解散命令請求が申し立てられた。山上徹也被告(43)は、なぜ安倍氏を狙ったのか。動機や事件の余波について本人が語る機会となる公判は、来年にずれ込む見通し。有識者は厳しい刑が言い渡される可能性があると分析する。 (18面に関連)
 山上被告は逮捕後、母親が高額献金をした旧統一教会を恨み「(教団を韓国から)招き入れたのは岸信介元首相。だから(孫の)安倍氏を殺した」などと供述したとされる。母親の献金額は計約1億円に上るとみられる。
 悪質な勧誘や高額献金、信者を親に持つ子どもたちの厳しい境遇が社会的な注目を集め、不当寄付勧誘防止法や教団の財産監視を強化する特例法が成立した。
 公判では被告が事件の余波をどう受け止めているかも注目される。起訴前の精神鑑定では「完全責任能力」を認める結果が出た。弁護側は無罪を主張せず、厳しい成育環境に置かれていたなどと主張し量刑を争うもようだ。関係者によると、初公判は来年になる見通し。
 裁判の行方について、元検事の高井康行弁護士は「民主主義の根幹を揺るがす選挙中の犯行で計画性も高い」と指摘。検察内部で死刑求刑の意見も出るだろうとしつつ、被害者が1人のため、過去の判例や最高裁の死刑適用基準(永山基準)から「最終的には無期懲役が求刑されるのではないか」との見方を示した。