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旧統一教会「念書」は無効 献金訴訟、最高裁初判断


旧統一教会「念書」は無効 献金訴訟、最高裁初判断 献金勧誘を巡る双方の主張と最高裁の判断
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側の違法な勧誘で献金被害に遭ったとして、元信者の女性(故人)の長女が教団側に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は11日、女性が教団に提出した「返金や賠償を一切求めない」との念書は「無効」との初判断を示した。教団側勝訴の二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。同様の書面を作成しているケースは他にもあり、救済される可能性がある。
 裁判官5人全員一致の結論。宗教団体の献金勧誘が違法となるかどうかを判断する枠組みも明示。寄付者が適切な判断ができるか、献金で生活維持が困難にならないかなどの事情を考慮し、社会通念上相当な範囲を逸脱した場合は違法とした。
 判決は、献金した経緯や金額など多角的な観点から不法行為の有無を再検討すべきだとした。多額の献金をした女性のケースを「異例」とするなど違法性を示唆しており、差し戻し審で勧誘行為が違法と判断されれば、教団に責任が及ぶことになる。第1小法廷は念書に関し、憲法で保障された「裁判を受ける権利」を制約するもので、合意の経緯や目的、寄付者の属性や不利益の程度などを考えて有効性を判断すべきだと指摘。女性の場合、念書作成時に86歳と高齢で、教団の心理的な影響下にあったなどとして「念書は女性が合理的に判断できないことを利用し、一方的に大きな不利益を与えるもの」で、公序良俗に反し無効と結論付けた。