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きょう広島原爆の日 投下79年 核抑止依存、転換促す


きょう広島原爆の日 投下79年 核抑止依存、転換促す 原爆投下から79年の「原爆の日」を前に、原爆ドーム前の元安川でともされたかがり火=5日夕、広島市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 広島は6日、米軍の原爆投下から79年の「原爆の日」を迎えた。広島市の平和記念公園で午前8時から「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が営まれる。松井一実市長は平和宣言で、世界情勢が混迷し国家間の疑心暗鬼が深まっていると指摘。核抑止力に依存する為政者に政策転換を促そうと呼びかける。 (25、27面に関連)
 市内では5日、被爆者と国会議員の討論会があり、長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会の和田征子事務局次長(80)は「核兵器が使用されたら、地球も人類も存続の危機に陥るということを自分事として考えてほしい」と訴えた。夜は原爆ドーム前に集まった多くの人が黙とうし、近くの元安川で平和や鎮魂の願いを込めたかがり火がともった。
 宣言では、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やパレスチナ情勢の悪化に言及。争いを生み出す不信感を消し去るため、市民社会が取り組むべき行動も提示する。日本政府に対しては、各国が対話を重ね、信頼関係を築けるようリーダーシップの発揮を求める。来年3月の核兵器禁止条約第3回締約国会議にオブザーバー参加し、一刻も早く締約国となるよう要請する。
 式典には、109カ国と欧州連合(EU)代表が出席する予定。7月の概要発表の時点では過去最多の115カ国が参加予定だったが微減した。
 広島市はウクライナ侵攻を理由に、3年連続でロシアとベラルーシを招待しなかった一方、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルを招待し、二重基準だと批判を浴びた。イスラエルは出席する予定。
 市は式典で、5079人を追加し総計34万4306人が記帳された原爆死没者名簿を原爆慰霊碑の石室に奉納する。