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中国軍、ICBM発射 太平洋へ44年ぶり2回目


中国軍、ICBM発射 太平洋へ44年ぶり2回目 中国のICBMの推定飛行経路
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 【北京共同=芹田晋一郎】中国国防省は25日、核ミサイル部隊を管轄するロケット軍が同日午前8時44分(日本時間同9時44分)、模擬弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を軍事演習で発射し、太平洋の公海の予定海域に落下させたと発表した。香港メディアによると、中国が太平洋へ向けてICBMを発射したのは1980年以来44年ぶり2回目。
 軍事関係筋は、米ハワイ南方に着弾したと明らかにした。台湾や南シナ海問題などで対立を深める米国やオーストラリアなどをけん制する狙い。関係筋は、中国国防省が24日に米豪とニュージーランドに対して事前通報していたことを明らかにした。
 国防省は、特定の国家や目標に対して行ったものではないと強調した。日本政府関係者によると、日本列島上空は通過せず、発射訓練について事前通報もなかった。木原稔防衛相は25日「わが国関係船舶の被害の情報はない。情報収集、分析を続け、警戒監視に万全を期す」と述べた。海上保安庁には、ハワイ南方に宇宙ごみが落下すると中国から連絡があった。
 国防省は今回の発射は、年次演習計画に基づき、国際法や国際的なルールにも合致していると説明した。新華社電によると、発射は武器の装備や性能、部隊の訓練レベルの検証に有効で当初の目的を達成したという。
 中国は80年5月に南太平洋へ向けてICBM発射実験を行い、初めて成功した。現在は、米本土のほぼ全域を射程に収める多弾頭型ICBM「東風41」を既に配備している。他に移動式ICBMを開発中とされ、極超音速滑空兵器を搭載できる新型弾道ミサイル「東風27」もICBMの可能性がある。