【交差点】自治体の営業マン


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 中国の大連、上海、香港などに、日本の地方自治体駐在員事務所が33設置されている。経済発展が目覚ましい上海には17自治体が事務所を設置している。各駐在員は事務所を拠点に派遣元の自治体をPRし、日本と中国との経済や文化交流などの窓口としてさまざまな活動をしている。

 その駐在員が香港に集まり、連絡会議を開催した。これまでの討論会方式からより実践的な情報交換の場にしようと、投資環境セミナーや香港の旅行社を招いた商談会などを開いた。
 訪日旅行を取り扱う旅行社14社との商談会では、旅行社に各県の観光名所や特産品などを紹介するため、駐在員は映像で観光地を紹介するなど工夫を凝らし自治体をPRした。
 また、より多くの観光客に来てもらおうと自治体の枠組みを超え、隣県と共同で県を紹介する駐在員もいた。会場内は、営業マンと化した駐在員の熱気で充満した。ある旅行社の担当者は「商品造成に役立つ情報が多い」と駐在員の熱心な説明に感心していた。
 中国本土と一体化したように思われがちな香港。一国二制度が示すように香港の特色は返還前と変わらない。上海から来た駐在員は「市場としての香港を再認識した」と成熟した香港市場の開拓に意欲を示した。中国は広大だ。駐在員たちは、ビジネスチャンスがあるのは本土ばかりではないと感じたに違いない。
 (志村正人・県産業振興公社香港事務所長)