【交差点】不買運動の恐怖


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 中国での反日運動デモがシンガポールでも大きく報道された日、弊社運営の新店舗の売り上げがこれまでの最低金額を記録した。シンガポールは中華系が70%以上を占め、他のアジア諸国同様、第2次世界大戦時の日本軍の侵略行為を繰り返し教育している。
 一瞬、「中国では日本製品の不買運動も起こっているという。デモはないシンガポールでも目に見えない精神的な影響があるのでは?」と恐怖に襲われた。幸運にも、翌日から売り上げは好調に戻り、他の店舗でも売り上げに問題はなく、私の思い込みすぎであった。
 今回のような騒ぎは日本大手企業が想定済みと発表したように、SARSなどのように想定できないリスクではないことに注目したい。大手はいいかもしれないが、小企業なら死活問題である。
 私は起業にあたって「人口が少ないシンガポールなんかでなく、これからは中国じゃないの?」と多くの方に言われたが、人口がいくら多くてもターゲット客層と起業目的が一致しなければ意味がないし、潜在的リスクや政治的安定度など、海外で投資する場合の重要なポイントはたくさんあると思う。
 (遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)