気配りある社会を 障害者県民会議 条例制定向け議論


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
共生社会の実現に向けて話し合う長位鈴子委員(中央)ら=19日午後、県宮古合同庁舎

 【宮古島】県と「県障害のある人もない人も暮らしやすい地域づくり県民会議」(障害者県民会議)は19日、県宮古合同庁舎で条例制定に向けてタウンミーティングを開催した。宮古を皮切りに、20日には八重山、年明けには本島北部、中部、南部の計5圏域でタウンミーティングを開き、県民の声を集めていく。

 県民会議が11月に、障がい者の権利擁護推進を目的とした条例制定に係る意見書を県に提出したことから、意見書に対する県民の声を聞くために開催された。
 「共生社会を目指すことで、社会はどう変わるか」をテーマにしたパネルディスカッションで、同会議の長位鈴子委員は「障がい者が社会の構成員になっていくためには、個人の責任から社会モデルに変えていくことと、同時に当事者の考え方も変えて自分たちから声を上げていくことが必要になる」と話した。
 新開秀雄委員は、自身が電動車いすを使い始めてから、歩道のスロープに段差があると乗り越えられないことが分かったとして「ちょっとした配慮があればいいことをやらない、できない、思いつかない。健常者の発想で作られた社会だと気が付いた。障がいがないことを前提とした教育も変える必要がある。年を取れば誰でも体が不自由になるし、障がい者だけでなくみんなに関わる問題だ」と話した。
 障がい者の居住サポートをしているレキオスの下地雅美委員は「差別は不安から起こっていることが多い。不安は知らなすぎるからだ。相手を知ればどう配慮すべきか分かってくるが、そこまでたどり着いていない人が多い」と指摘した。宮古圏域のアドバイザーを務める清水聡さんは、重度障がい者の中には特別な医療を受けるために家族で本島に引っ越す場合もあるとして「暮らし続けていく、場合によっては生命を維持するのに必要なものが欠けていることが離島の苦しさだ」と話した。
 会場の参加者からは「いまだに、障がい者が主張するとわがままと捉える傾向がある」「一番弱い人が住みよい町は、健常者にとっても住み良い町になる」などと意見が出た。