名護初の伝承者公演 組踊「萬歳敵討」


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組踊「萬歳敵討」で謝名の子(平田)・慶雲(宇座)兄弟が旅芸人のふりをして父の敵・高平良御鎖(親泊邦彦、右端)に近づく場面=2日、名護市民会館

 伝統組踊保存会(島袋光晴会長)の伝承者特別公演が2日、名護市民会館で行われ、組踊「萬歳敵討」を上演した。同会によると、名護での伝承者公演は初。立方、地謡とも中堅・若手の実演家が出演し兄弟が父の敵を討つ物語を表現した。

組踊上演前には、解説役の嘉数道彦が組踊の楽しみ方を紹介した。
 物語は謝名の子(平田智之)・慶雲(宇座仁一)兄弟が父の敵である高平良御鎖(親泊邦彦)を討つ。他の出演は高平良の妻に大湾三瑠、高平良の娘に石川直也、列女一に名嘉正光、列女二に仲村圭央、供一に當山力、供二に安次嶺浩和、道行人に具志堅朝堅、きゃうちゃこ持に宮里光也。
 地謡は歌三線に玉城利和、山城充幸、金城幸浩、座波洋平、箏に大城幸枝、笛に喜舎場孫好、胡弓に栄野元弘、太鼓に天久祥。
 冒頭、僧侶となったことを理由に敵討ちへの協力を断る慶雲を謝名の子が説得する場面は、平田が程よく間を取りながら言い聞かせるように唱えた。
 兄弟が旅芸人へ身をやつして高平良御鎖へ近づき、敵討ちの隙をうかがう場面は緊張感を表現。扇で顔を隠しながら兄弟の顔を見ようとする高平良御鎖役・親泊と、高平良を見詰め、隙をうかがいながら踊る兄弟役の様子を平田・宇座が演じた。