聖堂に響く弦楽の調和 聖クララ教会 コンサート


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温かみのある弦楽アンサンブルの音色に来場者を引き込む海勢頭愛(左端)ら=11日、与那原町の聖クララ教会

 聖クララ教会(与那原カトリック教会)の新春文化コンサート(県建築士会島尻支部主催)が11日、与那原町の同教会であった。クラシックからポップソングまで幅広い演目で、厳かな雰囲気の中でも親しみやすさを感じさせる演奏を繰り広げた。

ステンドグラスの向こうに夜景がきらめき、奥へ行くに連れて天井が高くなる独特の構造を持った聖堂で、来場者を弦楽アンサンブルの響きに引き込んだ。
 同教会は、近代建築物と周辺環境の記録や保存に取り組む国際学術組織「ドコモモ」が2003年に日本で選定した「近代建築100選」に選ばれている。コンサートは同教会をはじめとする近代建築物の保存を訴える趣旨で毎年開かれており、今回は7回目。
 出演は海勢頭愛(バイオリン、ビオラ)、新垣好美(バイオリン)、石川文乃(同)、片倉多恵(ビオラ)、具志堅真紀(チェロ)、奥平めぐみ(ピアノ)の6人。
 幕開けは、シンプルだが精密に構成された曲想を描くモーツァルト「ディベルティメント」。弦楽四重奏の新たな年をことほぐ音色で会場を包む。弦楽トリオ版のバッハ「ゴルトベルク変奏曲」はゆったりと抑えた調子のアリアで始まり、変化に富んだ旋律を奏でる。終曲ののちにアリアを再現して締めくくる。
 パッヘルベルの「3つのバイオリンと通奏低音のためのカノン」、賛美歌「アメージング・グレイス」、ブラームスの「ハンガリー舞曲」など広く親しまれる曲も披露した。
 松任谷由実「春よ、来い」は、聖堂のステンドグラスの輝きと調和するようにピアノの旋律がきらめく。佐原一哉「童神」、ホルスト「ジュピター」なども演奏し、時代劇のテーマ曲ながらさっそうと駆ける旋律が西部劇を思わせる玉木宏樹「大江戸捜査網のテーマ」で締めくくった。(宮城隆尋)