嘉手納より南返還 辺野古と一括 日米外相会談


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 【東京】岸田文雄外相は14日夕、ケリー米国務長官と都内の外務省飯倉公館で会談した。両外相は嘉手納より南の米軍基地返還・統合計画や、普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた日本政府の埋め立て申請を評価。辺野古移設と普天間以外の5施設返還を併せて推進することを確認した。

核実験やミサイル発射の動きを見せる北朝鮮に対し「挑発をやめ、非核化へ具体的な行動を示すべきだ」との認識も共有し、日米韓3カ国の連携で自制を求めることで一致。岸田氏は環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に協力を要請し、ケリー氏は理解を示した。
 返還計画に関してケリー氏は記者会見で「双方が約束を守る必要がある」と強調。昨年4月の日米共同発表で切り離した普天間移設と嘉手納より南の返還は、並行して進めるという一括実施(パッケージ)の側面がより鮮明となった。
 会談で岸田氏は「普天間移設と嘉手納以南の返還の両方が進展した」と表明。ケリー氏は埋め立て申請を「評価する」と述べた。岸田氏から県内移設に向けた進捗(しんちょく)状況を説明したとみられる。岸田氏は在沖海兵隊のグアムなど国外移転への米議会対策も求めた。
 共同会見でケリー氏は、普天間の県内移設について「前進は可能だ。安倍晋三首相、岸田外相が尽力している」と評価。グアム移転など米軍再編を進めていく必要性を強調した。
 尖閣諸島をめぐる日中関係の対立についてケリー氏は会談で「日本の施政権下にあり、現状を変更しようとするいかなる一方的な行為にも反対する」と言及。クリントン前長官の1月の発言と同様に踏み込んだ表現で中国をけん制。岸田氏は「大局的な対話ができるよう努める」と応じた。