銀皿に島の味「大東御膳」 琉球と八丈、食の融合


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沖縄と八丈島の文化が融合した「大東御膳」の試作品をPRする南大東村観光協会の吉里英利子会長(右)と熊切崇理事=9日、同村

 【南大東】殺風景なステンレスの皿に色とりどりの食材が花を添える―。南大東村では、10年ほど前まで、米軍払い下げの銀色の食器にごちそうを載せ、冠婚葬祭の席でふるまう習慣があった。南大東村観光協会(吉里英利子会長)は、この習慣を観光誘客に生かそうと、島の食材をふんだんに使った新メニュー「大東御膳」を創作している。

約100年前に南北大東島を開拓した東京・八丈島の人々から伝わった巻きずしや琉球料理が御膳に盛られる予定。「移民の島」ならではの“チャンプルー御膳”を創作し、今月中にも村内ホテルや飲食店で提供することを目指している。
 南大東村ブランディング事業の一環。地産地消を志向し、食材は、同村産のカボチャやジャガイモ、魚をふんだんに使う。
 皿は1948年ごろ、沖縄本島の米軍払い下げの品を売る店で、住民が購入して持ち込んだ。祝いの席などで用いられ、住民らに重宝がられていたという。
 現在、御膳のレシピを作成中。案として、八丈島から伝わった巻きずし「伊達巻き(祭り寿司)」や村近海で捕れたナワキリ(クロタチカマス)のソテー、村産カボチャのようかんなどのほか、卵焼きの中に蒸したジャガイモを入れた島独特の料理「大東オムレツ」などが挙がっている。今月中旬には、ツアーで村を訪れる観光客に試作品を提供、アンケートを実施して、料理構成に生かす予定だ。
 村観光協会理事の熊切崇さんは「大東島は琉球と八丈島の交差点。他の有人離島にはない文化がある」と南北大東島の魅力を語る。
 吉里会長は「大東すしやそばだけでなく、島の自然から作り上げた新メニューを定番化していきたい。南大東に来たら、自然だけではなく、食も豊かなことを多くの人に知ってほしい」と力を込めた。

英文へ→Daito to promote a fusion dish of Ryukyu and Hachijo cuisine