早期の職場復帰支援 うつ病特化型施設「BOWL」開所


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「うつ病の人と企業の懸け橋になりたい」と話す荷川取佳樹代表取締役CEO(右)、精神保健福祉士の城間直也さん=20日、浦添市伊祖

 【浦添】うつ病治療に特化した訓練・支援施設「BOWL(ボウル)」が20日、浦添市伊祖にオープンした。

長年、外資系生命保険会社で管理職を経験した荷川取佳樹さん(45)が代表取締役CEOを務め、施設は自身の経験も踏まえて「企業目線」をテーマに掲げる。会社員がうつ病で休職した場合、上司に直接アドバイスするなど、早期の職場復帰を促す独自の治療プログラムを提供する。民間会社が運営する、うつ病特化型施設のオープンは県内初となる。
 荷川取さんの友人や元部下がうつ病を患い、普段の業務や生活に支障が出たことを目の当たりにして、施設の運営を思い立った。昨年9月、起業を決意し、会社を退職。沖縄障害者職業センターなどで研修を受けて、治療方法を学んだ。
 施設には、精神保健福祉士も在籍する。プログラムは、会社の就業時間を意識して、午前9時から開始。アロマセラピーや農業体験、沖縄の歴史文化の学習などのほか、キャリアデザインやストレスマネジメントの講座も提供する。また今後、精神疾患を治療する県立総合精神保健福祉センターと連携して、就業支援を実施する予定。
 荷川取さんは「うつ病は、誰にでも起こり得る病気。これまでの福祉施設は、さまざまな障がいを持った人が集まり、うつ病の人の居場所がなかった。患者の自立心を引き出すために、この施設はある」と力を込めた。
 問い合わせは同施設(電話)098(879)0167。