子孫残す闘い クロイワゼミ交尾場面撮影


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オレンジ色のクロイワゼミの雌を2匹の雄が奪い合っている=2日、大宜味村(大山章さん撮影)

 【大宜味】県のレッドデータブックで絶滅危惧II類のクロイワゼミが交尾している様子を、NPO法人おおぎみまるごとツーリズム協会エコガイドの大山章さん(49)が、このほど撮影した。専門家によると、クロイワゼミの交尾の瞬間が撮影されるのは、とても珍しいという。

 クロイワゼミは沖縄本島と久米島にしかいない。大きさは2センチ前後で、体全体が緑色をしている。大山さんが2日に大宜味村内の山中で撮影した雌は、個体変異により、オレンジ色だった。2匹の雄が、1匹の雌を奪い合う様子を確認した。オレンジ色は雌でまれに見られるという。
 辻和希琉大教授(昆虫生態学・行動学)は「クロイワゼミは中南部で数が少なくなり、交尾が撮影されるのは大変珍しい。自然が残り、個体数が多い大宜味だから観察できたのだろう」と話した。
 大山さんは「こうした機会に、子どもたちがやんばるの森に興味を持ってほしい」と話している。森の生き物観察などの問い合わせは同協会(電話)0980(44)1960。(金城潤)