住民「実態隠しだ」 墜落現場上空飛行制限


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 米軍ヘリ宜野座墜落事故で、米軍が事故現場の空域の飛行を制限していることが明らかになった7日、事故原因の究明を求める宜野座村の住民から「実態を隠そうとしている」などと、憤りの声が上がった。

チャーターしたヘリが現場に近づけないため、報道機関は事故の状況を伝えられない事態となっており、事実上の「報道規制」となっている。通常と異なる飛行航路を強いられる事例もあり、航空関係者は運航への支障を懸念している。
 事故現場から近い宜野座村松田区に住む比嘉正二さん(63)は「身勝手な事故を起こしただけでも許せないのに、実態を隠すような飛行を制限するとは信じられない。言葉も出ないほど怒りを感じる」と批判した。
 ヘリ運航会社は、那覇空港から沖縄本島北部のリゾートホテルまで飛行する際、金武町や宜野座村上空の東海岸線を通過する。米軍が6日に航空情報(ノータム)を出したことを受け、7日は飛行制限空域を避け、西海岸上空の飛行経路をたどり、通常より距離と時間を費やした。航空会社関係者は「運航に支障が出ている。米軍は報道陣に現場撮影をさせないためだと思うが、(ほかの)業務にも支障があるので早めに解除してほしい」と訴えた。
 NHK沖縄放送局と共同通信社は6日、予定していた墜落現場上空からの取材ができなかった。NHK沖縄放送局の室町規公人(きくと)副局長は「取材に対する制限だとすれば、非常に遺憾なことだと考えている」と語った。共同通信社の尾崎徳隆ニュースセンター長も「遺憾だ」とコメントした。
 救急ヘリを運航する浦添総合病院やメッシュ・サポートによると、運航に影響はなかったという。救急搬送の場合、通常制限されることはないという。