原告団、国を提訴 南洋群島戦争被害


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南洋群島での戦争被害訴訟提起のため、那覇地裁に入る原告団=15日午前11時ごろ、那覇地裁

 南洋群島で戦争に巻き込まれた民間の県出身者やその遺族を中心とする原告が結成した訴訟団が15日、国の謝罪と1人当たり1100万円の損害賠償を求める訴えを那覇地裁に起こした。

同訴訟を提起した沖縄・民間戦争被害者の会(野里千恵子会長)によると、南洋群島の戦争被害の責任を国に求める集団訴訟は初めて。
 原告は67歳から101歳までの24人。戦争回避を怠って玉砕命令を出した国の国民保護義務違反や、南洋群島で戦争政策を推進して民間人の生命身体を危険にさらした公法上の危険行為の責任、被害者の損害を戦後68年間放置してきた立法不作為の責任などを国に問う。
 沖縄・民間戦争被害者の会が沖縄戦被害の国家賠償を求める訴訟でも新たに原告7人が加わり、同日、那覇地裁に提訴された。被害者の会の原告団は当初100人としていた目標に近づき、94人となった。
 原告側弁護団の瑞慶山茂弁護団長は「米軍基地が強化される沖縄では、まだ戦争は終わっていない。国に謝罪と補償を求め、南洋での戦争被害の実態を明らかにしていきたい」と話した。
 訴状によると南洋群島では、在住県出身者約8万人のうち約2万5千人が亡くなったと推定。援護法適用で補償された人を除き、約1万7千人が未補償で放置されたとしている。