悲喜のめりはり利く 劇団伊良波「中城情話」


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阿兄小(神谷武史)を振り捨てるウサ小(小嶺和佳子)=16日、南城市のユインチホテル南城

 劇団伊良波(伊良波冴子座長)は16日、南城市のユインチホテル南城で「中城情話」(親泊興照作)、「今帰仁祝女殿内」(上間昌成作)を上演した。

同ホテルの敬老の日特別企画。「中城情話」は、阿兄小(あふぃーぐゎー)役の神谷武史を中心に悲喜のめりはりが利いていた。
 美しい村娘のウサ小(小嶺和佳子)は、旅の里之子(佐辺良和)と恋に落ちる。ウサ小はいいなずけの阿兄小を振り捨て、里之子と共に村を去る。
 都会的な里之子は、佐辺のはまり役だった。神谷演じる阿兄小は、父(当銘由亮)や妹(知念亜希)とのやりとりで笑いを誘い、里之子に食って掛かる場面では、緊張感のある棒術を見せた。
 阿兄小が家でウサ小を説得していると、外から里之子の歌う「トゥバラーマ」が聞こえてくる。全てを捨てて駆け出すウサ小と、必死に呼び止める阿兄小。二人の迫真の演技に、客席から拍手が起こった。伊良波が地謡席で歌った「トーガニー」は思いがこもり、芝居らしい香りを高めた。
 「今帰仁―」は、若按司(嘉数道彦)と祝女殿内の娘カマドゥ小(知花小百合)、若按司のお供・三良(金城真次)とチラー小(知念)の恋をユーモラスに描いた。地謡は新垣俊道、仲村逸夫。