「環りの海」の視点評価 本紙「読者と新聞委員会」


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「主権回復の日」に関する報道や連載「環りの海」などについて意見を交わす「読者と新聞委員会」の委員ら=18日午後、那覇市天久の琉球新報社

 琉球新報社は18日、「読者と新聞委員会」(主宰・富田詢一社長)の第29回会合を那覇市天久の本社で開いた。

4人の外部有識者委員が4月28日の「主権回復の日」に関する報道や、山陰中央新報との合同企画で日本新聞協会賞を受賞した連載「環(めぐ)りの海」などについて意見を交わした。
 出席したのは吉元政矩(元副知事)、比嘉梨香(元県教育委員長、カルティベイト社長)、島袋純(琉球大教授)、比嘉徹(レイメイコンピュータ社長)の4氏。
 「主権回復の日」に関する報道では、4・28が沖縄が抱える問題の起点となったことを若者が理解するきっかけになったとの評価があった。一方、研究者の声を取り上げた記事が少なく、客観的に問題点を浮き彫りにする視点が不足していたとの指摘があった。特集の年表で、復帰に向け県民が立ち上がって行動した出来事が欠落しているという意見もあった。
 連載「環りの海」に関しては、生活者の視点がすくい取られており、対話の重要性への理解が進む報道との声が上がった。自己決定権の獲得について、県や地元紙が果たすべき役割についても話が及んだ。
 「しまくとぅばの日」に向けた報道に関して島袋氏は、沖縄の言語や歴史教育について、国は国連から「人権侵害になるというレベルで改善が求められている」と指摘。「しまくとぅば復活に頑張っているという取り上げ方ではなく、県民の権利を守るという視点で問題点を告発するのが新聞の役割ではないか」と話した。