キャンプ・ハンセン火事頻発 防火道整備も効果不明


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
実弾射撃訓練で出火した火災現場に放水する米軍CH46ヘリ=19日午後6時ごろ、恩納村の米軍キャンプ・ハンセン内のレンジ7付近

 【北部】米軍キャンプ・ハンセン内の複数のレンジ(実弾射撃訓練場)付近に日本側が総延長3400メートルの消火用道路と、同5400メートルの防火用道路を整備したにもかかわらず、防火・延焼防止対策の評価を米軍に確認していないことが20日、分かった。

沖縄防衛局は「整備後、米軍から山火事が軽減したなどの報告は受けていない」としている。同局は20日現在、両道路の整備事業費について具体的な金額を明らかにしていない。演習による山火事は多い年で十数件ほど発生しており、費用対効果を見極めず整備を進めてきた国側の姿勢が問われそうだ。
 1987年の日米合同委の合意を受けて整備された消火用道路は、実弾射撃訓練時に迅速な初期消火を実施することが目的。幅員3・6メートルの舗装道路が金武町のレンジ2、4、5の周辺に整備されている。
 2003年の日米合意で整備が始まった防火用道路は延焼防止が目的。幅員4メートルの舗装路の左右に幅5~10メートルの防火帯があり、レンジ2と4付近に整備が進んでいる。恩納村恩納側のレンジ7付近では、新たに約2100メートルが整備される予定だ。
 米軍は現在、消火用道路に消防車などを待機させて訓練を行っており、火災現場への陸路がなければ、米軍機が放水作業に当たる。
 県の資料によると、米軍演習による火災は1983年の38回が最多で、消火用道路の日米合意があった87年以降は毎年平均13件発生している。ことしは既に17件(ハンセン16件、シュワブ1件)に上っている。
 沖縄防衛局は山火事が発生するたびに、米軍に早期消火や再発防止を申し入れているが、消火用・防火用道路の効果は把握していないという。同局は「効果があるから日米で合意され、整備されたと承知している」と述べるにとどめた。米軍が鎮火を判断する基準なども把握していないという。

ハンセン山火事鎮火/恩納村議会、抗議決議
 【恩納】恩納村の米軍キャンプ・ハンセンのレンジ7付近で19日に発生した山火事について、沖縄防衛局は20日午前11時半に鎮火したと発表した。
 19日の山火事を含めて、ことし7月以降、恩納村内のハンセンでは米軍の演習による山火事が5件発生している。これを受け、村議会(山城郁夫議長)は20日の9月定例会で、米軍に防火体制の強化などを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。
 宛先は抗議決議が在日米軍司令官などで、意見書は首相など。