しまくとぅば教育進まず 「実施」80小、32中校


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 しまくとぅばの教育について県文化協会が2012年度に県内の国公立小学校(274校)・中学校(154校)を対象に実施した調査で、授業やクラブ活動など何らかの形でしまくとぅばを教えている小学校は80校、中学校は32校にとどまっていることが分かった。

ただ、調査に対し、小学校は169校(61・7%)、中学校は112校(72・7%)が無回答で、専門家は、無回答の学校はしまくとぅばを教えていない可能性が考えられると指摘、学校現場にしまくとぅば教育が浸透しきれていない実態が浮き彫りになった。
 小、中学校ともに、自由に記述する「その他意見等」の項目では「教師がしまくとぅばを話せない」など指導者不足を指摘する意見が30校と最も多かった。他教科との関係で時間の確保が難しいという意見が13校、講師派遣や人材リスト作成を求めたのは11校あった。
 特に取り組んでいないと回答した35校の中にも、教育の必要性を感じたり関心を持ったりしている所が11校あった。また12年度に取り組んでいたが、現在は教師が異動し継続されていない学校もあり、教師個人の能力や意欲に左右されやすい一面もみられる。
 各校の取り組み内容(複数回答)は、小学校ではしまくとぅばや歌三線などのクラブ活動で取り組んでいるのが26校と最も多かった。学習発表会などを通して教えているのが17校、校内外の意見発表会などに参加しているのが13校と続いた。中学校は、琉歌や国語の授業で取り上げているのが20校と最多だった。総合学習で取り組んでいるのが5校、意見発表会に参加しているのは4校だった。
 県文化協会は「若い教師はしまくとぅばが大事だと思っていても、教え方が分からない。民間の講師養成講座も追い付いていない。まずはお年寄りを学校に招き、あいさつから始めることが大事ではないか」と話している。(伊佐尚記)