「クオータ制」で男女平等 ノルウェー参事官が紹介


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ノルウェー大使館のスノーフリッド・エムテルードさんと、女性県議・市議らの男女平等についての意見交換会=15日、那覇市銘苅のなは女性センター

 女性大臣が50%、女性議員の割合が39%と、男女平等指数が世界第3位のノルウェーの歩みを学ぼうと15日、那覇市銘苅のなは女性センターで、ノルウェー大使館参事官のスノーフリッド・エムテルードさんを招き、県内の女性県議・市議会議員ら7人が意見交換した。

エムテルードさんは「女性が社会に出る権利がある一方、男性も家庭で子どもと過ごす権利がある。男女平等は女性だけの問題ではない」と指摘した。
 ノルウェーも1960年代までは、男性は外で働き女性が家事を担う性別役割分業が一般的だったが、70年代以降女性運動が活発化し、女性も働き経済的に自立することが普通なことになってきたという。
 78年にあらゆる性差別を禁止する男女平等法が法制化し、80年代に初の女性首相が誕生して以降、政治家や公務員、企業の役員の一定割合を女性にするといったクオータ制(人数割当制)が進んだ。
 エムテルードさんは「当初から男女が同じレベルではなかったため、女性を底上げする必要があった。その手段としてクオータ制は有効だ」と語った。
 さらに、最近の日本の議論は「経済的側面から労働力として女性も働く」という印象があるとし、「人権問題がないかのようだ。あらゆる意志決定の場に女性も参加することで、社会が豊かになる」と語った。
 那覇市議の平良識子(さとこ)さんからは「働きたくても子どもを預けられない待機児童の問題がある」と述べ、ノルウェーの子育ての仕組みについて質問があった。ノルウェーでは1歳未満は家庭保育、1歳以上は全ての子どもが保育園に入れるように制度化されている。「税金は高いが、医療、教育は無料で福祉は充実している。保育園をつくることにお金はかかるが、それ以上に女性も働けば税収も増える」と述べた。
 「男女平等の道のりは、おのずとつくられるものではないし、終わりはない」とエムテルードさんは述べ、大事なポイントは「机の端に座らず、中央に座ってはっきりと物を言うこと」「あなたの同僚を勇気づけ、夫と子どもを教育すること」と強調した。
 女性議員とエムテルードさんの意見交換会を設定した、琉球大学大学院法務研究科の准教授矢野恵美さんは「女性議員の皆さんに、後輩らのロールモデルになってほしい」と激励した。