識名トンネル書類送検 県、「予想しなかった」


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 県が2006年に発注した県道識名トンネル工事に絡み、虚偽契約に基づき国の補助金約5億円を不正に受給した問題で、県警が契約当時の土木建築部長ら県幹部・担当職員12人前後を補助金適正化法違反、虚偽公文書作成・同行使の容疑で書類送検していたことを受けて20日、県庁に困惑が広がった。

一方、国は捜査の推移を見守りたいとしている。
 県警は18日に書類送検した。事態の発覚を受けて県は20日、事実関係を照会したが、県警は被疑者名や人数など具体的情報を開示しなかった。
 県の當銘健一郎土建部長は「(書類送検は)予想していなかった。警察は、報道発表もせず、捜査中であり情報を出さないとのことだった。被疑者など状況が分からないが、警察から検察へ段階が移っており、推移を見守る」と述べた。
 昨年6月、補助金適正化法違反容疑などで容疑者不明のまま県警に告発した内閣府沖縄総合事務局の河合正保局長は「検察での手続きが進むと思うので注視したい」と今後を見守る構え。県議会が総合事務局のチェック体制の責任も指摘していることに関し「本件にかかわらず、補助事業の手続きが適正かチェックしなければならない」と述べ、担当部署への指導や識名トンネル問題に関する検証作業を進めていることを示した。
 国への補助金返還額の利息分約7千万円を、仲井真弘多知事や当時の職員、業者らが返済するよう求める住民訴訟を起こした原告側代理人の山城圭弁護士は「県が書類送検を重大な問題と捉えてしっかり反省すれば、ある意味で住民訴訟の目的は達成されるが、送検で何が変わるかは不透明だ」と語った。