FC琉球・棚橋先制もドロー JFL第29節


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 日本フットボールリーグ(JFL)第29節は20日、各地で6試合を行った。FC琉球は沖縄市陸上競技場でブラウブリッツ秋田と対戦し、1―1で引き分けた。

琉球は前半25分にFW高橋駿太のアシストでMF棚橋雄介が先制ゴールを決めたが、わずか1分後にカウンターから失点した。後半は試合終了間際に足が止まりピンチもあったが、何とか乗り切った。通算成績を11勝9敗9分けとした琉球は、勝ち点を42と伸ばしたが順位は9位に落とした。琉球の次節は26日、石川県の金沢市民サッカー場でツエーゲン金沢と対戦する。午後2時キックオフ。

FC琉球(11勝9敗9分)(42)
1―1(1―1,0―0)
ブラウブリッツ秋田(13勝10敗6分)(45)
▽得点者 【琉】棚橋【秋】半田

 【評】ボール保持率の高いポゼッションサッカーを展開する秋田に対し、琉球は高い位置からプレッシャーをかけて好機をつくった。前半でMF棚橋が先制したが、すぐさま同点にされた。後半は秋田のコーナーキックが4回連続とピンチもあったが、1―1で引き分けた。秋田は正確なパス回しで琉球をかき回したが、決定機をつくれず引き分けた。(仲本文子)

プレーの質良くない
 薩川了洋監督(FC琉球)の話 相手が細かくパスを回してくるのは想定内だった。そこでボールを奪うまでは良かったが、ゴールに運ぶまでのプレーの質が良くなかった。惜しい部分もたくさんあったが、勝ち点1を取れたので最低限の仕事はできた。

◆「あと一手」出ず幕切れ/“因縁の対決”再び決着せず
 琉球歴代監督2人を擁する秋田との“因縁の対決”は、6月のアウェー戦に続き今季は2戦ともドローという歯切れの悪い形で幕を閉じた。
 「あと一手」が出なかった。MF小寺一生や富所悠、三浦旭人らが素早いプレッシャーをかけ、高い位置でボールを奪っても次に続かない。セカンドボールが相手の足元に落ちるなど、ゴールが遠かった。
 見せ場がなかったわけではない。前半25分、右サイドに抜け出した高橋が絶妙なタイミングでクロスを送ると、ゴール前へ勢いよく走り込んだ棚橋がダイレクトボレーで力強くネットを揺らした。
 鮮やかな先制ゴールに、一時は圧勝すら予感させた。しかし1分後にショートカウンターから失点し、進撃ムードはあっけなく終わった。
 逆に試合終了まで5分を切った場面では、巧みなパスワークを展開する相手に何度も押し込まれた。
 何とか勝ち点は挙げれた。しかし、コンセプトの明確なサッカーを見せた秋田と対戦したことにより、琉球の目指すサッカーの不透明さが浮き彫りになった試合でもあった。付け焼き刃の対策ではなく、本来のチームワークで次節こそ勝利をつかみたい。(仲本文子)

◆“古巣”苦しめた/秋田 監督、GM、選手
 琉球の初代監督・与那城ジョージ監督率いる秋田は、ポゼッションにこだわったサッカーを展開し琉球を苦しめた。前季まで琉球だったDF初田真也も先発出場し、元琉球のFW比嘉雄作もベンチ入りした。
 琉球3代目監督で秋田のゼネラルマネジャー(GM)新里裕之氏も来県し、古巣との戦いを見守った。「(秋田は)しっかりコンセプトを持ったサッカーを目指している」と胸を張った。
 与那城監督は「久々の沖縄だったが、地元の皆さんが応援してくれた。自分も琉球を陰ながら見守っている」と笑顔で話した。
 来季からJ3参入を見据える両チーム。新里GMは「僕らも秋田で頑張っている。ともに切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と語った。

FC琉球―ブラウブリッツ秋田 後半、激しい競り合いを見せるFC琉球のMF三浦旭人=20日、沖縄市陸上競技場(桑原晶子撮影)
試合の感想を語るブラウブリッツ秋田の与那城ジョージ監督