壺屋焼の里、工房新築可能に 那覇市が規制緩和


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 那覇市は26日までに、壺屋焼の里・壺屋地区を焼き物工房の新築、増改築が円滑に行える「緩和型特別用途地区」に指定する方針を決めた。同地区の指定は県内初。現在、住宅地に指定されている壺屋地区は新しい工房の設置が原則禁止だが、今後は一定の建築基準を満たせば焼き物工房を開ける。早ければ11月中に国の承認を受け、2014年4月から設置要件が緩和される。

 那覇市都市計画課は「工房の主の弟子や次男、三男は現在、市外でしか工房を開けない。指定されれば工房が増え、壺屋地区はより活性化する」と期待した。
 指定されるのは壺屋やちむん通りを中心とした8・6ヘクタールの区域で、現在は14軒の工房がある。壺屋地域は焼き物の里として戦後の復興をけん引したが、市街化が進む中で住居専用地域に指定された。工房の建築は原則禁止されてきたため、多くの陶工が市外へ転出していった。
 市の計画案では住環境に配慮して工房設置に一定の制限を設ける予定だ。作業場の床面積はあまり広すぎない300平方メートル、ろくろや土練機などの出力は15キロワット以内に制限し、外壁や屋根は遮音効果の構造にするなどとしている。窯はガス窯、電気窯に限り、炉内の容量は3立方メートル以下とした。二酸化炭素排出の多い灯油窯や伝統的登り窯は対象にしない。
 22日の市都市計画審議会では委員から「もっと広い作業場があってもいい」などの意見が出た。
 壺屋陶器事業協同組合の島袋常栄理事長(69)は「壺屋は300年以上の歴史があるが、よそで工房を作る人が増えてきた。特区に指定されれば外に出た人も戻ってくる。壺屋はまだまだ元気のある焼き物の里だと示せるようにしたい」と話し、地区指定の効果に期待した。(関戸塩)

<用語>特別用途地区
 地域の特性にふさわしいまちづくりや環境保護を促進するために、土地の使い方を特別に定めた地区。区域内では地方公共団体の条例により、建築物の制限内容を強化したり、国土交通相の承認を得て用途を緩和したりすることができる。佐賀県の有田町や栃木県の益子町など焼き物で有名な地域も壺屋地区の計画と同様の内容の指定をしている。

300年余の歴史を誇る壺屋焼の里・壺屋地区のやちむん通り=那覇市
焼物工房が建設できる地区