全駐労年休無給訴訟、賃金支払いで和解案 那覇地裁


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 基地内の一部従業員らがストライキを行った際、在沖米軍司令部が病休以外の年休は無給とし賃金カットしたことは違法として、全駐労沖縄地区本部の基地従業員176人が、雇用者の国を相手に未払い賃金約200万円などを求めている訴訟で、那覇地裁が原告側の訴えを大筋で認める内容で和解を勧告していたことが、1日分かった。

原告の従業員側は和解を拒否し、判決を求めた。国内の労働関連法が米軍の裁量で基地従業員の労働条件に適用されない現状を明確にし、違法状態の歯止めとしたい考えだ。
 同問題は、サービス部門を運営するAAFES(米陸・空軍エクスチェンジサービス)の再雇用の労働条件をめぐり、従業員らが昨年7月にストを実施した際の米軍の対応が発端となった。米軍は組合活動の支援や私用のために取得した基地従業員の年休を認めず、賃金をカットした。
 従業員らは正当な権利を否定する違法行為として提訴。年休を与えると正常な運営ができなくなる場合、使用者に認められる「時季変更権」を米軍が行使したかを争っている。那覇地裁は10月16日、原告側に対し(1)日本政府が未払い賃金を支払う(2)付加金支払いは認めない(3)米側が時季変更権を行使したかは争わない―とする和解案を示した。
 全駐労沖縄地区本部の与那覇栄蔵委員長は「国内法を順守させることができないのは異常だ。カットした賃金を払い戻すだけの問題ではない。日本の法律が侵されている点に問題がある。(和解勧告した裁判長へ)しっかりと主権国家の司法として判断してほしいと強く申し上げた。和解勧告には応じられない」と強調した。(古堅一樹)