復興の思い重ね 金井さん交響曲「第2番」、66年ぶり再演


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 譜面に刻まれた沖縄音楽の旋律が66年の時を超えて再現される。日本の女性として初めて交響曲を作った宮古島出身の作曲家、故・金井喜久子さんの「交響曲第2番」が3日、宮城県の仙台フィルハーモニー管弦楽団によって仙台市の日立システムズホールで演奏される。楽団などによると、交響曲第2番は1947年に東京の日比谷公会堂で初演して以降、演奏の記録はないという。

同楽団演奏事業部の竹村正人主査は「戦後、沖縄の復興に思いを寄せた金井さんの心が、震災からの復興を目指す私たちに感銘を与えた。金井さんの曲をぜひ仙台の人々に届けたい」と話した。
 仙台フィルは近年、「日本の現代作曲家」をテーマにした演奏会を展開しており、今回は「女性作曲家」に焦点を当てた演奏会を企画した。金井さんが邦人女性作曲家の先駆けであることや、沖縄の戦後復興に懸けた思いが東日本大震災からの復興を目指す宮城県の現状と重なると考え、金井さんの交響曲を選曲した。
 金井さんの息子の弘志さん(76)は「仙台フィルが母の曲に意味を見いだし、取り上げてくれるのは大変うれしい。66年前に作った曲が仙台の人々を元気付けることにつながれば、母も喜ぶと思う。演奏会を企画してくれた関係者に感謝したい」と感激した。
 金井さんは西洋と沖縄の音楽を融合させた曲を多数作曲しており、交響曲のほか、オペラやバレエ、沖縄民謡の声楽曲なども手掛けている。沖縄復帰式典の音楽なども作曲した。県立第一高等女学校の卒業生でもあり、晩年は「ひめゆり平和祈念資料館」の建設費用を捻出するためチャリティーコンサートを多く開催した。(外間愛也)