県挙げた環境 参考に 教員27人学力先進地、秋田視察


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 那覇市の各小中学校を代表する教員27人が10月15日から3泊4日の行程で、学力先進地の秋田県秋田市を視察した。学力テストで全国最下位が続く沖縄から、常にトップの成績を収める秋田の現状を視察し、那覇市の学力向上へつなげることが目的。一括交付金を活用し、初めて実施した。

現地を訪れた教員は「学習規律がしっかりしている」「教師は子どもたちが理解するまで徹底して指導している」と感想を述べ、大きな刺激を受けた。城間幹子市教育長は「行ったきりで終わらせたくない」と強調。視察参加メンバーでプロジェクトチームを発足し、市内全校で学力向上に取り組む考えを示した。
 視察した27人は、学力向上のための役職や学校運営の中心を担うことが期待されている中堅、若手の教員で、校長の推薦を受けている。
 市教育委員会は秋田などへの学力先進地視察事業を2014年度以降も継続して実施したいと考えている。
 現地では小学校教員(19人)と中学校教員(8人)の2グループに分かれて行動。小学校グループは小学校2校、中学校1校、中学校グループは中学校2校、小学校1校をそれぞれ視察した。一行は授業を参観した後、秋田市の学校長、教頭、現場教師らと意見交換の場も設けた。那覇市側の教員からは多くの質問が出され、予定時間をオーバーするなど活発に話し合った。
 また秋田の教諭との懇親会も開かれた。人事交流で那覇市内の学校に赴任経験のある秋田の教員や、現在真嘉比小から秋田に赴任している教員らも集まり、さまざまな課題について情報を交換した。
 壺屋小で3年生の担任をしている照屋由紀子教諭は「子どもたちは座る姿勢からしっかりしており、学習規律が確立されている。次の指示にスムーズに動いていた。体を動かす環境が整っていて、体力づくりができているのがポイントではないか」と子どもたちの様子を語った。
 前島小で6年生を受け持つ與座優太教諭は「しっかりした学習環境が秋田県全体でつくられている。一人一人の先生の力だけでなく、チーム力の高さを感じた。沖縄でも秋田の情報は入ってくるが、実際に現場を見て、肌で感じて、本当の意味で理解することができた」と述べた。さらに「視察した教員の影響は、県内でも波紋のように広がっていくと思う。ぜひ事業を継続してほしい」と強調した。
 金城中で国語を教える佐久本美穂教諭は「小学校での理解が不十分なままの中学生は、小学校に呼び出して指導していた」と話し、徹底した取り組みに驚いたという。「秋田では小・中学校両方の教員免許を取得し、どちらでも教えている先生が多い。小・中の状況が分かり、情報交換もより綿密で、学習内容の充実につながっている」と分析した。