コザ孤児院 記憶継承誓う 今も残る家屋集い


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「コザ孤児院」に使われていた民家を訪れ、当時を振り返る参加者ら=4日午後、沖縄市住吉

 【沖縄】現在の沖縄市住吉に1945~49年ごろまであった「コザ孤児院」で亡くなった子どもたちを供養する慰霊祭が4日、市納骨堂で開かれた。沖縄戦で親を失い、「コザ孤児院」で生活した人や関係者約30人が参加。戦火を逃れながらも、被弾によるけがや栄養失調などで亡くなった孤児たちを供養した。

沖縄戦の体験や孤児院で過ごした記憶を継承しようと、今後も慰霊祭の開催や交流を続けていくことを確認した。
 沖縄市市史編集室による取り組みで、慰霊祭の開催は昨年3月以来3回目。
 参加者は慰霊祭の後、孤児院に関する企画展を開催中の沖縄市戦後文化資料展示室ヒストリート2や、今も民家となって残っている旧孤児院を訪れた。展示写真や、かつて過ごした場所を一目見て当時を思い出し、思わず涙を流す参加者もいた。
 那覇市の嘉陽宗伸さん(76)は沖縄戦当時、家族を失い、独りで戦場を歩いているところを米兵に見つかり、「コザ孤児院」へ連れられた。「食べ物も十分になく、ここで死んでいく子どもを何人も見た」と当時の状況を振り返り「展示や講話などを通して、私たち世代が体験したことや平和について継承する必要がある」と語った。
 ヒストリート2で開催中の企画展「戦世(いくさゆー)の子どもたち~コザ収容所の孤児院展~」は12月8日まで。