桐りんごさん大賞 坊ちゃん文学賞


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桐りんごさん

 新しい青春文学の創造を呼び掛ける「第13回坊ちゃん文学賞」(主催・松山市、同文学賞実行委員会)の最終審査会と表彰式が5日、愛媛県の松山市役所で行われ、全国応募1060点の中から、糸満市出身の桐(きり)りんごさん(32)=本名非公開=の「キラキラハシル」が大賞を受賞した。

 初の文学賞への応募で大賞を射止めた桐さんは「小説の執筆はことしに入って始めたばかりで、名前を呼ばれても信じられず体が震えた。読んだ後に爽快感や心が温まる作品を書くという目標を曲げることなく、創作に専念していきたい」と喜びを語った。
 「キラキラハシル」は、自然に囲まれた緑が丘小学校を舞台に、女子400メートルリレーで全国大会出場を目指す小6女子4人の物語。それぞれの胸の内に不満や悩みを抱えながら、陸上部の監督や校長先生の支えとともに困難を乗り越え、大会当日を迎える。
 小学生のときに陸上部で全国大会に出場したという桐さん自身の体験を重ねた。審査委員長の椎名誠さん(作家)は「舞台が『沖縄』ということもあり明るい作品。子どもたちの真剣さは『小学生がここまでやるか』と議論になる作品でもあった」と講評した。
 大賞賞金200万円。受賞作は1月発売の雑誌「クウネル」3月号(マガジンハウス)に掲載される。過去の受賞作には「がんばっていきまっしょい」(敷村良子)など映像化された作品も多く、メディアの注目を集める文学賞となっている。