県内に再生医療拠点 県が本年度内に構想


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県は琉球大医学部に幹細胞の臨床研究体制を構築し、再生医療の技術開発や県内に細胞製造関連企業の集積を図る「先端医療産業開発拠点」の形成を計画している。2013年度内に拠点化に向けた具体的な構想を策定し、次年度から幹細胞の臨床研究を本格化させる。

将来的に細胞医療関連企業の沖縄研究室などを開設し、細胞製造や医療品、試薬メーカーなどを呼び込む狙いだ。
 県ものづくり振興課によると、琉大医学部は現在、幹細胞の専門家の増員や研究者、培養技術者の育成に向け準備を進めている。県は産業集積の実現性を高めるため、研究者個人と企業ではなく大学に研究開発を主導してもらうことで、県内に人材や情報、技術が蓄積される環境を整える。
 県は年度内で、琉大医学部が臨床研究や人材育成に必要な細胞培養など専用機器の導入を支援、同部の事業推進を後押しする。一方で、再生医療に関する国の新法制定を見据えた沖縄独自の振興策や研究開発体制の在り方など事業計画をまとめる。
 14年度からは事業を推進する新制度や企業集積を図る賃貸工場整備などの検討も進める。
 県は軟骨や骨、血管、心筋、筋肉など主に人間の構造を支える組織をつくる細胞に分化する能力を持つ「間葉系幹細胞」に注目。琉大医学部と連携し、県内での再生医療の研究を支援する。県は15年度までを事業期間に4億6千万円の事業費を見込む。県の担当者は「県外製薬会社が全日本空輸の国際貨物事業など沖縄の優位性を感じ、沖縄進出を検討する動きが出ている。再生医療は国の新たな成長戦略に位置付けられ今後の成長が期待できる」と事業の意義を強調した。(謝花史哲)