地域の中で治療を 精神保健福祉大会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
医療・行政、新聞記者らが精神疾患患者の支援体制について意見を交わした公開座談会=6日、宜野湾市民会館大ホール

 「第44回精神保健福祉普及大会」(県・県精神保健福祉協会主催)が6日、宜野湾市民会館大ホールで開かれた。「最大の国民病としての精神疾患~今、われわれは何をなすべきか」をテーマに、医療・行政関係者や新聞記者ら5人が登壇。「患者を病院に囲い込むのではなく、地域で支え合いながら治療していくことが必要だ」など、患者の支援体制について活発に意見を交わした。

 琉球新報社の高江洲洋子記者は地域で取り組みが進む精神疾患者の社会復帰支援について報告。「アルコール依存症について当事者同士が語り合う断酒会や、退院後に地域の中に居場所をつくる福祉サービス事業所の取り組みにより、当事者が回復に向かっている。人間関係が人を支えている」と強調した。
 玉木病院の玉木昭道事務長は、精神医療の歴史について「患者を遠くへ追いやる医療から、地域で共に暮らしながら治療を続ける時代に変わった。偏見をなくし、患者が地域で生き生きと暮らせる国や県の制度が必要だ」と指摘した。
 平安病院の山崎千鶴子看護師は被災地を訪問した経験を報告。「災害時の心の反応を事前に学んでおくことで、いざという時に冷静に対処できる。心のケアの現場にいる私たちが住民に広く情報を伝えていく必要がある」と語った。
 県宮古福祉保健所の仲宗根正所長は「県内ではアルコール依存症が大きな問題となっている。予防の段階で働き掛けることが大切だ。WHOが作成した依存症の簡易テストを取り入れ、早めの治療に取り組んでほしい」と呼び掛けた。
 大会では「精神疾患克服への道標」と題し、国立精神・神経医療研究センターの樋口輝彦理事長が特別講演した。

※注:山崎千鶴子看護師の「崎」は、「大」が「立」の下の横棒なし