世界初、魚の雌を性転換 美ら島財団・中村参与ら


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 【本部】沖縄美ら島財団の中村將(まさる)参与(66)らが、成魚の雌に女性ホルモンの合成を抑える薬を投与して、雄に性転換させることに世界で初めて成功した。

同財団が7日発表した。一部の魚は成長途上で性転換するが、本来であれば性を変えない成魚の卵巣を精巣に変化させた。性転換した魚は精子も雌の染色体しか持たず、次に生まれる世代は全て雌になるため、卵巣を食用とする魚の養殖などに応用が期待できる。
 長濱嘉孝(よしたか)・愛媛大教授らとの共著論文が、10月7日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポート」に掲載された。
 研究では女性ホルモンの合成を抑える酵素アロマターゼを含む薬を餌と一緒に与えた。メダカで約2カ月後、テラピアで約6カ月後、卵巣が精巣に変化した。
 一般的に魚は雄1匹で雌3、4匹の卵に受精できるため、雌が増えると繁殖が有利になる。カズノコ、カラスミなど卵や卵巣が食用となる魚の繁殖に応用できる。卵や精子を作る生殖幹細胞が卵巣中にある可能性も示し、卵巣を凍結保存すれば、一度途絶えた優良個体や希少種の復元も可能になる。
 中村参与は「女性ホルモンが低下すると、生殖幹細胞が精子形成へ進行すると考えられる。卵にも精子にもなる生殖幹細胞がどこにあるか分かったのも成果だ」と語った。
Okinawan researchers succeed in sex-change for fish