沖縄料理、介護食にも 那覇で講座


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 病気や加齢でかんだり飲んだりすることに問題がある人にも食事を楽しんでもらうため、介護者を対象にした「うちなー介護食基礎講座」(主催・バリアフリーネットワーク会議、沖縄市)が7日、那覇市旭町のおきでん那覇ビルの「カエルぴあ」で行われ、約10人が参加した。

県の「地域支え合い体制づくり事業」を受託したもので、2月まで離島を含めた県内各地で開かれる。受講料は無料。
 言語聴覚士の與儀賢也さんが、摂食や嚥下(えんげ)(飲み込み)について解説し「カプセルで栄養を取ればいいわけではない。口から食べることは人生の質に関わる大切なことだ」と話した。また、唇の動きが不自由な人の困難さを体験するため、参加者全員で唇を閉じずにコーラを飲むことに挑戦すると、思わずむせる人が続出した。
 引き続き行われた調理実習では、管理栄養士の大矢富子さんが講師となり、「スーチカー(豚肉の塩漬け)のやわらか汁物」や「にんじんシリシリ入りジューシー」などミキサーやとろみ剤を活用した5品目のうちなー介護食を作った。大矢さんは「年を取っても沖縄の料理を楽しんでもらいたい」と話す。
 参加した上原正吾さん(35)=那覇市=は食品メーカーに勤務している。「一般的に流通している介護食にはまだ沖縄料理がないので、向学のために来た」と話した。那覇市内の保育園に勤務する40代の女性は「園にいる嚥下障害の子のために休みを取って参加した」と参加の理由を語る。
 講座では嚥下や介護食の他、口内の菌が付着した食べ物が肺に入ることで起こる「誤嚥(ごえん)性肺炎」を予防する効果もある口腔(こうくう)ケアについても解説する。問い合わせはバリアフリーネットワーク会議(電話)098(929)1140。
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 ■今後の日程 11月13日沖縄市福祉文化プラザ 21日金武町総合福祉センター 12月4日宮古島市中央公民館 18日名護中央公民館 1月11日うるま市健康福祉センターうるみん 22日南風原町中央公民館 2月11日石垣市健康福祉センター 27日おきでん那覇ビルカエルぴあ(いずれも正午から午後4時まで)

ミキサーなどを使って「うちなー介護食」を作る参加者ら=7日、那覇市旭町のおきでん那覇ビル内カエルぴあ
うちなー介護食の例。スーチカー(右上)やドゥルワカシー(中央上)など、元のおいしさを残したままのメニューがそろう