名護市長選告示まで2ヵ月 三つどもえで前哨戦


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(左から)稲嶺進市長、末松文信県議、島袋吉和前市長

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題が最大の争点となる名護市長選は、来年1月12日の告示(投開票19日)まで2カ月に迫った。

これまでに稲嶺進市長(68)のほか、反現職の保守系から同市区選出の末松文信県議(65)=自民=と島袋吉和前市長(67)の二人が立候補を表明。移設に強く反対する稲嶺氏に対し、容認する立場の末松氏と推進を掲げる島袋氏の一本化は決裂状態となっており、移設問題が争点となった1998年の市長選以来、容認派勢力が初めて分裂する形で前哨戦に突入した。
 2期目を目指す稲嶺氏は革新系に一部保守系を加えた与党市議15人が支持し、比嘉祐一議長が選対本部長を予定。後援会とは別に、玉城義和県議が代表の支援組織も発足しており、労組、退職教員らを中心に態勢を築いている。
 辺野古移設について稲嶺氏は7日の会見で「もともと無理な計画。日米両政府は普天間の機能が必要なのか議論すべきだ」と述べ、17年も進まない計画の実効性を強く疑問視した。
 末松氏は9人が所属する自民党系の市議会野党会派などの要請を受け出馬を表明。市政奪還を目指す陣営は反現職勢力の一本化を模索するが、三つどもえの選挙戦も見据え、経済界や建設業界などの支持基盤構築に力を注いでいる。
 辺野古移設について末松氏は10日、辺野古であった市議の報告会に出席し「知事が承認すれば容認する考えだ。このことが問題の解決につながる」と述べ、容認の立場を明確にした。
 返り咲きを狙う前市長の島袋氏は移設推進の姿勢を強調。「辺野古移設なくして北部の振興発展はない」との主張を前面に打ち出し、基地従業員の市民優先採用などの政策を掲げる。陣営は新たに支持母体を結成。地元数久田区有志や移設推進組織が脇を固める。
 島袋氏は9日の事務所開きで記者団に対し、「3人が立候補すると確信し、対策している。一本化は今のところ考えていない」と強調した。