温故知新を体現 しゃかり


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15周年記念ライブでファンへの感謝を込めて「唐船ドーイ」を演奏するしゃかりのチアキ(中央)、カンナリ(左)=22日、北谷町のライブハウスモッズ

 故きを温(たず)ね、新しきを知る。その言葉を体現する公演で節目を彩った。しゃかりの15周年記念ライブが22日、北谷町のライブハウスモッズであった。古典に焦点を当てた最新作「温故知新」収録曲をはじめ、結成以来の道のりを新旧織り交ぜたオリジナル曲で描く。

チアキ(ボーカル、三線)とカンナリ(パーカッション)はサポートメンバーと共に、音楽、そしてルーツである沖縄に向き合う真摯(しんし)な姿勢をステージで表現。伝統に根差し、新たな地平を目指す決意をファンと共有した。
 「心の声」「お家へ帰ろう」「結まーる」「くちぐせ」。さまざまな局面で、さまざまな人々と共に築いてきたオリジナル曲を立て続けに奏でる。多彩な曲想を描く作品はどれも、チアキの透き通る声を最大限に生かす。
 アルバム「温故知新」から「百名節」を歌う。チアキの地元・北谷町に語り継がれる美声の持ち主「北谷真牛」について語り、「21世紀の北谷真牛を目指して精進します」と宣言すると歓声がわく。「瀧(たき)落し」は主旋律をチアキが笛で奏で、ギターとパーカッションで華やぐ。シンプルに奏でる曲だけでなく、大胆なアレンジを施した演奏にも伝統への敬意をにじませる。
 「谷茶前節~伊計離節」は母・桐原好枝さんらが舞踊で花を添える。10周年記念ライブ以来という、歌声と舞踊の親子共演に会場が沸いた。
 「唐船ドーイ」で来場者は総立ちになり、節目を祝うカチャーシーで入り乱れる。拍手に応えて再び現れたメンバーは「笑って」を演奏。「支えてくれた皆さんにお礼がしたい。それには歌しかない」と語るチアキ。この日のために作り、会場で配った記念の曲「ありがとう」を歌う。繰り返す感謝の言葉と、聞く者を肯定する優しい旋律が会場を満たした。〈この声が続く限り 心のままに 歌い続けよう〉。(宮城隆尋)