県勢、1回戦突破 全国高校バスケットボール


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 第44回全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)は23日、東京体育館で男女の1回戦を行った。男子の興南は法政大第二(神奈川)と対戦し、堅守からの速攻で優位に試合を進めて79―64で快勝した。

女子の那覇は就実(岡山)と大接戦を展開。那覇はシュートが決まらず一時はリードを許したが、徐々に加点して48―47で競り勝った。那覇は大会第2日の24日に四日市商業(三重)と、興南は第3日の25日に福島商業(福島)と2回戦を行う。

<女子那覇>
 【評】那覇が守備で粘ってロースコアの接戦を制した。第1Q(クオーター)は両チームともにシュートが決まらず、互いに主導権を握れなかった。第2Qに入ると那覇は中山や金城のインサイドでペースをつかみ、リバウンド争いでも優位に立った。第3Qは3点弾を決める就実に大きくリードされたが、那覇がオールコートディフェンスで相手の勢いを止め、逆転につなげた。就実は最終盤の勝負どころでシュートミスが出たことが痛かった。
(平安太一)

◆守備でよく我慢
 屋嘉謙呉コーチ(那覇)の話 初戦の硬さはあったけどディフェンスでよく我慢してくれた。1勝を得られたことはとても大きい。これまで自分たちのバスケットができないことが多かったが、少しずつ気持ちも楽になるはずだ。まだまだ若いチームなので、一つ一つの経験が糧になる。

◆1点差で激戦制す
 最後は全員で守りきった。第4クオーター(Q)残り45秒で那覇のリードはわずか1点。タイムアウト直後に就実ボールで試合が再開すると、足を使ったディフェンスでシュートミスを誘った。「最後まで粘り強くできた」。中山美裕主将が語る通り、試合終了のブザーが鳴るまで集中力を切らさず、1点差で激戦を制した。
 動きに硬さの出た第1Qは攻め込みながらもフィニッシュを決められなかった。リング下で果敢にシュートを打ち続けた金城菜子は「すごく緊張していた」と苦笑いする。得点は伸びなかったが、堅守で相手の攻撃を抑えて前半はロースコアながらもリードを保った。
 しかし第3Qは就実の流れにのみ込まれた。3点弾をテンポ良く決める相手攻撃陣を止められず、オフェンスではシュートがリングに嫌われた。しかし中山主将が「絶対に負けたくない」と気迫あふれる守備を見せると、攻撃では金城がリング下から得点して流れを呼び込んだ。最後は渡久地結香がバスケットカウントで得たフリースローを沈めて勝負を決めた。
 「応援してくれる人たちに勝利をプレゼントできて良かった」と中山主将ははにかむ。那覇にとってウインターカップ初勝利。中山主将は「2回戦に行くのは初めてだけど楽しみながら試合をしたい」と決意した。(平安太一)

◆第4Q残り1分 渡久地が決勝点/「みんながつないだ」
 第4Qの残り1分を切り、那覇は2点を追い掛けていた。ボールを受けた渡久地結香はリング下に切り込み、相手守備のプレッシャーに体勢を崩されながらシュートを放った。ボールがリングに吸い込まれるのとほぼ同時にレフェリーの笛が鳴り、バスケットカウントが宣告された。
 「ここで決めたら流れが来る」。ボールに意識を集中させた渡久地が放ったフリースローはリングに沈んだ。チームは逆転に成功し、これが決勝点となった。
 試合中も積極的に攻撃に絡んだ渡久地は「みんながここまでつないでくれたから最後に決められた」と仲間の支えに感謝する。そして「リバウンドの部分が満足できていないので次の試合で修正したい」と浮かれることなく次戦を見据えた。

<男子興南>
 【評】興南が攻守で法政大第二を圧倒した。第1Qから中村や下地の得点で勢いに乗ると、リバウンド争いでも優位に立った。第2Qは興南が法政大第二をわずか6点に抑え、速攻から得点してリードを広げた。第3Qはミスが増えた興南に対し、法政大第二はシュートを確実に決めて追い上げた。興南は中村の得点などでリードを保ち、第4Qは3点弾を立て続けに決める法政大第二を振り切った。
(平安太一)

◆リバウンド勝負
 井上公男コーチ(興南)の話 相手は身長がほぼ同じチームだったのでリバウンド勝負だと伝えていた。選手らはきついところを頑張ってくれた。試合の入りも良く、第2Qはよく6点に抑えてくれた。

◆堅守と速攻 持ち味存分
 興南が持ち味の堅守と速攻を存分に発揮した。マンツーマンでプレッシャーを与え続け、リングにはじかれたルーズボールを確実に拾う。攻撃では長い縦パスやリバウンドからの早い展開で得点を重ね、一度もリードを許すことなく初戦を突破した。
 チームの起爆剤となったのは下地敦之だった。第1クオーター(Q)序盤に3ポイントを沈めてチームを勢いづけると、ミドルやインサイドと多彩な攻撃で相手を揺さぶった。リバウンドも積極的に拾い、「いつも(ボールに)飛び込めと言われているから狙っていた」と口元を緩めた。
 前半を終えた時点で10点のリードを奪い、圧勝ムードが漂い始めた第3Qに落とし穴があった。パスミスなどターンオーバーから連続で失点、一気に1点差まで詰め寄られた。「出だしが良すぎて気持ちが緩んでしまった」と語る中村陽延は、シュートを決めて悪い流れを断ち切った。中村は「自分がチームを引っ張っていこうと思った」と胸を張る。チームは勢いを取り戻し、再び試合の主導権を握った。
 終わってみると15点差の快勝。この日が誕生日の井上公男コーチは「最高だ」と表情を崩す。最後まで走り続けて監督に勝利を届けた中村は「2回戦もチーム全員で戦って勝つ」と力を込めた。(平安太一)

就実―那覇 第4クオーター、ドリブルからシュートを狙う那覇の中山美裕=23日、東京体育館(平安太一撮影)
興南―法政大第二 第4クオーター、ジャンプシュートを決める興南の下地敦之=23日、東京体育館(平安太一撮影)