辺野古埋め立て承認へ 知事あす表明


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 【東京】仲井真弘多知事は25日午後、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請をめぐり、首相官邸で安倍晋三首相と会談した。安倍首相は17日に知事が求めた要望に関し、環境保全面で日米地位協定を補足する新たな特別協定の締結に向けた交渉開始で米側と合意したと報告。普天間飛行場の5年以内の運用停止要求には「努力を十二分に行う」と強調したが、具体策は示さなかった。これに対し知事は「驚くべき立派な内容を提示していただいた。お礼を申し上げる」と首相の回答を高く評価した。知事周辺によると、知事は27日に承認を表明する意向を固めた。

 知事は会談後、記者団にこれまでの「県外移設の方が早い」との主張について問われ「滑走路がある県外に持って行く方がまだ早いのは決まっている」と認識に変化がないことを強調。辺野古移設にも「名護市長と名護市議会が嫌だと言っており、大変厳しい」と従来の見解を繰り返した。
 ただ5年以内の運用停止に関し、安倍首相が努力すると発言したことに「実現できれば早い危険性の除去というところでは合格だ」と歓迎。運用停止の実現性に関して「首相が言ったことそのものが担保だ」と述べ、首相の発言を重視して判断する考えを示した。
 安倍首相は(1)普天間配備の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練の半分を県外の複数演習場で実施(2)牧港補給地区の7年以内の全面返還実現のための作業チームを防衛省に設置―などの負担軽減策を示した。
 知事は埋め立て判断に関し「首相の気持ちを胸に受け止め、埋め立ての承認、不承認を決める」と説明。基地負担軽減の政府の取り組みを踏まえ、判断する考えを示した。会談後、記者団に「結構早く取り掛かってもらった。いい正月になると実感した」と述べた。
 首相は記者団に対し「政府としてできることは全て行っていく。しっかり結果を出していきたい」と話した。
 日米両政府は25日、首相が知事に伝えた政府間協定策定に向けた共同文書を発表。環境調査を目的に自治体職員が基地内へ立ち入る際の統一的な手続きを話し合うと明記した。

安倍首相(左)の基地負担軽減策に対する回答に対し、「驚くべき立派な回答だ」と評価した仲井真県知事(右)=25日午後、首相官邸
基地負担軽減で政府回答