奄美復帰60年、記念行事に3000人参加


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鹿児島県・奄美群島の復帰60年を記念し、奄美市内を練り歩く提灯行列=25日夜

 【奄美市から長浜良起】奄美群島本土復帰60年を祝して、記念イベント「復帰の灯」(奄美市メモリアルイベント実行委員会主催)が25日、鹿児島県奄美市立名瀬小学校グラウンドで行われた。

各地域の青年団代表によるスピーチや、元ちとせさん、中孝介さんら奄美出身アーティストのステージで会場が一つになり、本土復帰を果たした先人たちの苦労に思いをはせた。人口約6万5千人の奄美大島で、約3千人(主催者発表)が集結した。
 かがり火の匂いが会場を包む中、子どもからお年寄りまで多くの人がイベントに駆け付けた。参加者は国旗を掲げたり、復帰60周年を祝うのぼりを掲げたりした。地元の小学生らが「60周年おめでとう」「日本がんばれ」などのメッセージを書いた約千個の灯籠が辺りを照らした。
 奄美の各青年団代表のスピーチで、徳之島町連合青年団の名城慎吾団長は「(先人たちが)群島全体のために団結して歴史を刻んでいったことを忘れずに伝えたい」と決意を新たにした。
 ステージで元ちとせさんは「先人たちに感謝の気持ちを込めて、歌の贈り物をしたい」と述べ、「語り継ぐこと」を歌い上げた。
 参加した看護師の小田明美さん(58)=奄美市=は「10年前に担当した患者から『子どもの教育のため、東京まで密航して日本の教科書をもらってきた』と聞いた。思いをしっかり引き継いでいきたい」と話した。
 60年前に復帰を祝って提灯(ちょうちん)を持って町中を練り歩いた「提灯行列」も再現された。那覇市在住で奄美市出身の保(たもつ)美智子さん(37)は、この日に合わせて帰郷した。「親や祖父母の苦労があって今の暮らしがある。奄美の歴史を学ばなければいけないと思った」と行列に参加しながら語った。
英文へ→3,000 people commemorate 60th anniversary of Amami reversion