那覇西猛追 あと一歩 京都橘に2―3 全国高校サッカー


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 第92回全国高校サッカー選手権大会第4日は3日、千葉県のフクダ電子アリーナなどで3回戦8試合を行い、県代表の那覇西は昨年度準優勝の京都橘に2―3で惜敗し、1994年に同校が打ち立てた県勢最高の8強入りを逃した。

那覇西は後半0―3の場面から、途中出場のFW國吉遼が2得点するなど最後まで粘りを見せたが、あと1点が奪えず敗退した。全国高校総体との2冠を狙う市船橋(千葉)、初出場の履正社(大阪)などがベスト8入りした。市船橋は水戸啓明(茨城)に4―1で快勝した。履正社は青森山田に、日章学園(宮崎)は東福岡にいずれもPK勝ちし、修徳(東京A)は初の8強入り。

▽3回戦
京都橘
3―2(2―0,1―2)
那覇西(沖縄)
▽得点者【京】中山2、小屋松【那】國吉2

 【評】序盤から那覇西は持ち味の素早いプレッシャーを仕掛けたが、相手エースに隙を突かれ、前半で連続失点。0―2で迎えた後半5分にも失点するが、20分から投入されたFW國吉が2連続ゴールを奪う猛攻を見せた。後半はシュート本数が7本と、足が止まった京都橘を何度も翻弄(ほんろう)したが、あと1点が奪えなかった。京都橘は素早い前線の動きと決定力で競り勝った。(仲本文子)

持ち味は出せた
 玉城真哉監督(那覇西)の話 3戦目の疲れもあった中で、今までやってきたことは出せた。特にFW國吉は、苦しい時間帯でよくやってくれたと思う。素早いプレッシャーや気持ちのこもったプレーなど、うちの持ち味は出せた。結果はしょうがない。

沖縄のレベルは高い
 米澤一成監督(京都橘)の話 昨年沖縄で開催された招待試合で訪れて、沖縄のレベルは高いと感じていた。那覇西のプレッシャーの速さやワンタッチのつなぎ方など圧倒されてしまった。フィジカルの落ちたところで攻めきれず、失点につながった。

◆國吉 鮮烈2得点 “スーパーサブ”の真骨頂
 スーパーサブ・國吉遼が大輪の花を咲かせた。大差でリードを許していた場面から怒濤(どとう)の2連続ゴールを決め、昨年準優勝の京都橘を最後まで苦しめた。
 後半20分。玉城監督が「前線にもっとスピードのある選手を」と、満を持して投入した國吉がピッチに入ると、チームの雰囲気ががらりと変わった。
 縦横無尽に駆け回り、何度も好機を演出する。交代からわずか2分、一度相手守備に阻まれたシュートを持ち直し、1度目のゴールを決める。さらに6分後、相手守備2人のわずかな隙間をくぐり抜け、強烈なミドルシュートをネットの左端にたたき込んだ。
 3回戦まで1失点もしていなかった京都橘を相手に、初めてゴールをこじ開け、完全に主導権を握った。しかしその後、幾度となく相手にシュートを浴びせたが、同点に追い付くまでには至らなかった。
 1、2回戦も途中出場していた國吉だったが、両試合ともノーゴール。「自分の仕事ができていなかったから、三度目の正直だった」と振り返ったが「負けて悔しい」と目を赤くする。
 まだ2年生。可能性は計り知れない。「次は1度も負けたくない」と悔しさを心に刻み、雪辱を誓った。(仲本文子)

◆全力尽くし、3年生に笑顔
 8強まであと1勝と迫った那覇西の相手は、優勝候補の京都橘。それでも那覇西は臆することなく、果敢にプレッシャーをかけ続けた。
 3年にとっては高校集大成。それだけに全員が力の限り走り抜き、ベンチも声を枯らして応援した。終了のホイッスルが鳴った瞬間、選手らはピッチに倒れ込んだ。全力で戦った証拠だった。
 シュート数はこの試合、お互い12と並んだ。後半は那覇西の7に対し、京都橘が5。前半は逆の数字だっただけに、那覇西にとっては時間が足りなかったのが悔やまれる。
 最後の試合を終えた3年生は、意外にも明るかった。徳元悠平主将は「2年前の悔しさは晴らせた」とすがすがしい表情。通算2ゴール3アシストのMF新城太貴も「最後まで自分たちのサッカーができた」と笑顔だった。
 一方で、2年生は悔しさを爆発させた。DF上原勘七は涙を抑えきれず、國吉は「悔しい」とうつむいた。徳元主将は「2年生も成長しているし、活躍を期待している」とエールを送った。(仲本文子)

3回戦 那覇西―京都橘 後半28分、2点目となるシュートを放ちボールの行方を見つめる那覇西のFW國吉遼(中央)=3日、千葉県のフクダ電子アリーナ(仲本文子撮影)
試合終了後、涙を浮かべスタンドにあいさつする那覇西イレブン