健康長寿が危ぶまれる県内で、市民劇やお笑いの舞台でも「健康」をネタに意識を啓発する活動が広がっている。演劇が好きな有志でつくる南城市民劇団「賞味期限」(津波恭(ただし)団長)は健康長寿をテーマにした独自の作品を市内6区で上演し、静かなブームを呼んでいる。演芸集団「FEC」も月に1度の定期公演「お笑い劇場」で昨年12月、「イッツソーイージー・ホスピタル!」をテーマに掲げ、舞台上で体重の減量に挑戦し観客を盛り上げた。
「賞味期限」の上演作品は、長寿の神様が怠けている間に長寿から転落したことを描く「願寿世界報(がんじゅうゆがふう)」と、忙しくて検診に行かない母親に、お年寄りの医師が早めの特定健診の受診を促す「おばぁドクター」の2本だ。
12日は南城市健康づくり推進大会の舞台に立つ。市内のPTAの集まりや公民館祭りでも上演を予定している。劇団は現在、約20人が中心メンバー。働き盛りの世代に肥満が多いことや生活習慣病を患う人も多いのが沖縄の健康課題。働き盛り世代の劇団員は自戒や実感を込めて熱演する。
市つきしろ区の新城辰夫区長の提案をきっかけに長寿劇が誕生した。今では「市健康づくり支援調査検証事業」に位置付けられ、行政も後押ししている。
団員の川畑政豊さん(46)は「うちあたい(思い当たり)しながら演じています。健康じゃないと何もできない。健康意識を高め、長寿県を奪還したい」と意気込む。平田美智子さん(54)は「自分の健康を真剣に振り返る機会にしたい」と抱負を語った。
一方、FECは定期公演「お笑い劇場」の舞台で30代後半の芸人5人が上演時間の2時間の間に「1人1キロダイエット」に挑戦。また、24歳ながら2人合わせて総体重が200キロ以上というコンビ「ノルウェースウェーデン」が、舞台の本番中に会場の那覇市牧志から、同市久茂地のファストフード店でチキンを購入するため走るという課題も課された。
目玉は、芸人らが舞台の前に受診した健康診断の結果発表。まーちゃんこと小波津正光さんは「高校卒業以来、一度も健診を受けたことがない。かなり不安」と漏らしていたが、問題なしの結果だった。
公演を訪れた女性(30)=沖縄市=は「私にとっては、ここに笑いに来ることが健康の秘訣(ひけつ)かも」と話していた。
企画を提案したゴリラコーポレーションのゆうすけさんは「劇場を通して、お客さんが健康について考えるきっかけになってほしい」と語った。(高江洲洋子、知花亜美)
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