音楽 より多彩に 一人芝居「かぎやで風哀話」


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「かぎやで風哀話」を演じる(左から)当銘由亮、仲大千咲、知念勝三、照屋早月=12月17日、浦添市の国立劇場おきなわ

 沖縄芝居などで幅広く活動する当銘由亮(よしあき)の一人芝居「かぎやで(かじゃでぃ)風哀話」が12月17日、浦添市の国立劇場おきなわであった。

7月にキジムナーフェスタで初演した時は、地謡は照屋早月(歌三線・胡弓)のみだったが、今回は知念勝三(まさみつ)(歌三線)、仲大千咲(箏)も加わった。場面によって男女の歌を使い分け、楽器も増えたことで音楽が多彩になった。沖縄芸能マグネットコンテンツ舞台公演の一環。
 物語の主人公・樽金は首里王府に勤める真面目な青年。恋心を抱く真鶴と尊敬する先輩・高里の縁談が持ち上がり、思い悩む。樽金は自分の気持ちを封じ込め、「かじゃでぃ風」を踊り2人を祝福する。
 琉球古典音楽から沢田研二まで多彩な楽曲が本作の魅力の一つだ。地謡が増えたことでさらに強化された。初演では照屋が真鶴を演じたが、今回は当銘の返しだけで表現。より演技力を問われる形式に挑んだ。
 ただ、役者の汗が見えるような小さな会場で見た初演と比べると、少し迫力が薄れてしまったように思う。今回使われた国立劇場おきなわの小劇場は255席あり、雰囲気もやや格式張っているため、客席との距離を縮める工夫がもっと必要だと感じた。クリスマス前の上演だったため、冒頭で琉球風「きよしこの夜」に乗せて踊るなど、当銘らしいサービス精神も見せた。