知事、数日で「適合」判断 辺野古埋め立て申請


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
辺野古埋め立て申請に関する県の審査結果の表

 仲井真弘多知事が承認した米軍普天間飛行場の移設に向けた辺野古埋め立ての手続きで、政府の申請内容を審査した県土木建築部が昨年末に仲井真弘多知事に報告した審査結果の最終段階での資料が判明した。

昨年12月23日付の文書では公有水面埋立法の基準のうち、申請内容が環境保全に関する項目に適合するか否かについて「○(△)」と記し、判断を保留している。県は同25日に審査を終えたと説明しており、知事承認直前まで事務方の判断は固まっていなかったことを裏付けた形だ。最終盤の数日間で仲井真知事が「適合」と判断した経緯や理由の説明が求められそうだ。
 一方、環境保全に関する基準への最終判断を保留した上で、文書は「申請書では現段階で取り得ると考えられる環境保全措置などが講じられており、基準に適合していないとは言えない」とも記している。
 土建部は埋立法に基づく6項目の基準別の適合状況は、代替基地建設と工事で使う作業ヤード部分に分けて審査。申請の承認には全6項目の適合が絶対条件となるが、「環境保全、災害防災への十分な配慮」以外は最終的に全て適合と判断したが、項目ごとの理由など詳細は記されていない。
 一方、作業ヤード設置のための埋め立てのうち、名護市が設置した施設がある区域に関し、同法に基づき必要となる市の同意は得られないことから保留を意味する「△」と記している。
 3572件に上った利害関係者の意見では埋め立てに反対する意見も多数寄せられたが、「名護漁協の同意を得ていることや、公益上、条件を付すべき利害関係者は存在しないため、特段の影響はないものと判断できる」と、埋め立てに伴う条件を付すべき利害関係者はいなかったとした。
 同資料を入手した仲村未央県議(社民護憲)は「申請内容が『適合しないとは言えない』とあるが、なぜ適合したのかなどの理由は書かれていない。適合の判断は、申請内容に瑕疵(かし)があるかないかではなく、環境保全への十分な配慮があるかどうかだ」と県の判断を疑問視しており、9日の県議会臨時会で追及する構えを見せている。