「非日常」強烈に 渋さ知らズ


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混とんとしたステージを繰り広げる渋さ知らズオーケストラ=9日、那覇市の首里劇場

 渋さ知らズオーケストラが首里劇場でライブするイベント「ジュッチャクvol.1」が9日、開催された。ジャズやロック、舞踏などが混在したステージと、沖縄芝居から成人映画まで扱ってきた築64年の劇場。二つの非日常が強烈なハレの日を生み出した。

 暗いコンクリートの床と大音量できしむ木造舞台。64年分の欲望が染みこんだ劇場は、娯楽的で混沌(こんとん)とした渋さの音楽を増幅させる。ドラマが起こったのは、ライブが半分を過ぎた午後8時半ごろ。大雪で関東に足止めされていたメンバーが劇場に到着した。一度千葉駅で解散したが、諦めきれずに「それぞれ勝手に」沖縄に来たという。
 その一人、渡部真一は法被にふんどし姿でタクシーから降り、ステージへ。アングラ演劇の匂いを漂わせて始まったライブは、名画のような不思議な感動を残して終わった。惜しいのは、三線を取り入れたのにあまり生かされなかったことだ。
 周囲から理解を得るのは大変だろうが、またここでライブが見たい。(伊佐尚記)