音楽で人々つなぐ サクラザカ・アサイラム


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 桜坂の街を舞台に多様な文化が混じり合い、異空間を作り出す。桜坂劇場を中心とした那覇市内各地で15、16の両日、「サクラザカ・アサイラム2014」が開かれた。桜坂だけでなく安里、久米のライブハウスなどにも会場を拡大、全国各地から訪れたアーティストは過去最大規模の約80組に上った。

ライブを中心に、壁面に映像を投影するプロジェクションマッピングや雑貨市など、多彩な催しを繰り広げた。年々規模を拡大する同フェスは、今回も音楽を媒介に人々がつながり、アートの化学反応で新たな文化を生み出す息吹を感じさせた。
 シンガー・ソングライターの畠山美由紀は16日、桜坂劇場で中島ノブユキ(ピアノ)と共演。昨年6月に発表したアルバム「rain falls」から「風の栞(しおり)」などを歌った。中島の優しいピアノで始まる「夏の懺悔(ざんげ)」、畠山の繊細な歌声は不意に力強く、聞く者の心を震わせる。「夜と雨のワルツ」は〈あなたが思うよりも人生は短く〉そして〈果てしない〉という歌詞が鮮やかに響く。
 宮城県気仙沼市出身の畠山。「寒さが厳しい中で沖縄に来られ、ほっこりした気持ちになった。コントラストが激しいからか、どうしても東北のことを考える。離れるほど故郷への気持ちは強くなる」と語り、震災直後に発表した「わが美しき故郷よ」「その町の名前は」などに被災地への思いを乗せた。
 読谷村出身のナオキ屋は同劇場のさんご座キッチンで熱唱。「何で平和ボケしてるんだ」と絶叫であおり「オレオレロック1395578」などを歌う。聴衆を熱気と笑いの渦に巻き込んだ。
 同フェスが2007年に始まった時から中心となり活動してきたタテタカコのほか、二階堂和美、遠藤ミチロウ、忘れらんねえよ、サキシマミーティングら、多彩なアーティストが出演した。(宮城隆尋)

彩り豊かな歌声と優しいピアノの調和を聞かせる、畠山美由紀(右)と中島ノブユキ=16日、那覇市の桜坂劇場
ホーンとストリングスの調和で心地よいスイングを聴かせる勢理客オーケストラ=桜坂劇場
「オレオレロック1395578」や「紅いもタウン」などで熱い叫びを聞かせるナオキ屋=桜坂劇場さんご座キッチン