沖縄の貧困「構造的」 沖国大でセミナー、識者が問題検証


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沖縄の貧困問題について有識者らが報告や提言を行う社会福祉公開セミナー=22日午後、宜野湾市の沖縄国際大学

 沖縄の貧困問題を議論する社会福祉公開セミナー(県ソーシャルワーカー協議会主催)が22日午後、宜野湾市の沖縄国際大学で開かれた。有識者が登壇し、それぞれの立場で貧困を引き起こす構造的な問題点や特徴などについて検証した。

 沖縄国際大学の名嘉座元一教授は経済の観点から沖縄の貧困について分析した。名嘉座教授は島しょ県ゆえに産業創出が難しく、第3次産業に偏る経済構造を指摘した。「サービス業は非正規雇用も多く、低賃金につながる」と述べ、こうした情勢が貧困の要因になっているとの見方を示した。
 また沖縄県の県民所得が全国最下位である一方、大阪大が実施した幸福度調査では15位であることを紹介し「幸福度の高さが貧困を見えにくくしているかもしれない」と述べた。
 元県中央児童相談所長の山内優子氏は子どもの貧困に言及。「戦後から子どもの貧困が始まった」と述べ、米施政権下に置かれた影響で児童福祉などの整備が遅れ、復帰後の格差につながっていると強調した。
 加えて米軍基地が沖縄に残り続けることで「基地があるために県や市町村で子どもの問題の議論が進まない」と訴えた。