76歳・豊見山さん卒業証書に「感無量」 真和志中


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真和志中学校の金城聡校長(右)から卒業証書を受け取る豊見山惠盛さん=9日午前、那覇市寄宮の那覇市民会館

 県内公立中学校の7割以上にあたる108校で9日、卒業式が行われた。那覇市立真和志中学校(金城聡校長)の卒業式は、体育館が改築中のため那覇市民会館で開かれ、卒業生136人と一緒に、中学卒業を一度断念した豊見山惠盛さん(76)=那覇市=にも卒業証書が手渡された。

約60年越しの卒業証書を受け取った豊見山さんは「感無量。やっと肩の荷が下りた」と喜びをかみしめた。
 豊見山さんは宮古島出身。宮古島の鏡原小を卒業後、鏡原中に進学した。だが中学3年に進級する春、職を求める両親と共に石垣島に移転。次男の豊見山さんは漁師に働きに出され、通学を諦めた。「とにかく生活が苦しく、親を恨めなかった」と話し、「学校に通える友人らに嫉妬していた」と当時の悔しさをにじませる。
 18歳で独立後、フェリーの機関士やエンジンの整備士として働きながら、3人の子どもを育て上げた。2011年春、「中学校から出直したい」と、夜間中学のある珊瑚舎スコーレの門をたたいた。真和志中に籍を置きながら、スコーレで3年間学んだ。
 「勉強はもちろん、修学旅行などの行事も楽しく、中学生に戻った気分だった」と、2度目の中学生活を振り返る豊見山さん。卒業後は英語の勉強と趣味のギターを続けていく。「満足に学校に通えなかった人は、沖縄には多くいる。学び直す楽しさをぜひ知ってほしい」と、満面の笑みで語った。(内間安希)