戦死の兄、消息期待 北海道の渡辺さん、ガマフヤーが遺骨発見


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 那覇市首里石嶺町にある茂みで11日、沖縄戦当時のものとみられる遺骨が見つかった。帝国陸軍の携行品も見つかっていることから日本兵とみられる。発見した北海道千歳市遺族会会長の渡辺鶴雄さん(77)は、沖縄に出征し戦死した兄の遺骨を探すために10日来県していた。「これをきっかけに兄の手掛かりが分かれば」と遺骨の発見を喜んでいる。

 渡辺さんの兄の義雄さん(享年20)は陸軍に志願入隊。第24師団歩兵第22連隊として沖縄戦に出征したが、1945年5月20日に首里で戦死した。遺骨の代わりにサンゴのかけらが遺族に届けられたという。
 渡辺さんは「兄貴を連れて帰りたい」との一心で、厚生労働省や平和団体などに情報を求め、兄が首里石嶺町で戦死した可能性が高いことが分かった。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表に遺骨発掘の協力を求めていた。
 渡辺さんと具志堅さんが同日午前、傾斜地の茂みを掘ってみると薬きょうが見つかり、さらに掘り返すと頭やかかとの骨の一部が現れた。防毒マスクのガラス片や携帯テントのはと目といった、陸軍の携行品も見つかった。
 具志堅さんは「案内してすぐに遺骨が見つかり、驚いている。やはり戦跡地の遺骨捜索はまだまだ必要だ」と指摘する。
 渡辺さんは「兄と分かったわけではないが、DNA鑑定をしてみたい」と希望を託す。「北海道出身者の遺骨はほとんど返っていない。ほかの遺族も巻き込んで発掘作業できないか考えたい」と話した。

茂みで遺骨を捜索する渡辺鶴雄さん(右)と具志堅隆松さん=11日午後、那覇市首里石嶺町
沖縄戦当時のものとみられる人骨の一部や防毒マスクのガラス片=11日午後、那覇市首里石嶺町