北農高の前身、国頭農学校の写真発見 碧梧桐の子孫が保管


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絵はがきと同じころの写真を比べて見せる北部農林高校の大城正也校長=13日、名護市の北部農林高校

 【名護】県立北部農林高校(大城正也校長)の前身で、名護市大中にあった国頭農学校の農場と校舎の写真が写った絵はがきがこのほど、見つかった。俳人の河東碧梧桐(1873~1937年)が全国俳句行脚をした際の1910年、沖縄滞在中に東京の妻へ送ったもの。大城校長は「当時の校舎が写るのは一枚しかない。とても大切な資料だ」と語る。

 碧梧桐は愛媛県生まれで正岡子規から俳句を学んだ。1905年ごろから五七五の形にとらわれない「新傾向俳句」に取り組み、新傾向俳句を伝えるための全国行脚中に沖縄を訪れた。
 絵はがきの写真には水田やサトウキビ畑があり、その間を縫う道先の丘に国頭農学校がある。写真下部には「THE KUNCHAN AGRICULTURAL SCHOOL」と説明書きがある。空の部分には碧梧桐が「国頭郡名護に在り。全島中唯一の学校也。可観。位置も亦たよし」と書いている。
 表には那覇市内の「久米角坂元商店発行」とあり、1910年5月18日の消印が押されている。絵はがきは碧梧桐の子孫が保管していたという。
 大城校長は「島内で一つの農学校という意味だろう」と推察。「当時は『くんじゃん』と読んでいたのだろう」と思いをはせた。今後、写真を解析するという。
 絵はがきは今月9日まで、兵庫県伊丹市の公益財団法人柿衛文庫が開催した碧梧桐特別展で展示され、パンフレットにも掲載された。2月上旬、国頭農学校の跡地を探して北部農林を訪れた旅行者がパンフレットを大城校長に見せ、絵はがきの存在が明らかになった。